case12歯茎が膿んだ奥歯を1Dayインプラントで治療した症例

治療前後の写真

治療前
治療前

治療前は右下の歯茎に膿の出口である瘻孔が見られます。

治療後
治療後

治療後は瘻孔が消失し、抜歯した右下5番にインプラントによる歯が入っています。

主訴

右下の奥歯の歯茎が膿んでいるので治療したい」という主訴で来院されました。

来院時の状態と問題点

右下第二小臼歯(右下5番)の頬側の歯茎に瘻孔(フィステル)が認められ、そこから排膿していました。瘻孔は、根の先の細菌感染が歯茎を突き抜けて膿の出口をつくったもので、強い痛みが出ないまま、膿が出たり引いたりを繰り返すのが特徴です。

レントゲン検査では根の先から周囲にかけて骨が失われている像が確認され、根尖性歯周炎(根の先の病巣)と診断しました。すでに根管治療を受けた歯で、再治療による改善は見込めない状態であったため、保存は困難とご説明しました。

術前
術前のパノラマレントゲン
抜糸直後
抜糸直後のパノラマレントゲン
術後
術後のパノラマレントゲン

術前は右下5番の根の先に骨が失われた透過像が認められます。2枚目が抜糸直後、3枚目が治療後で埋入したインプラント体と上部構造が確認できます。

治療計画

感染源となっている歯を抜歯したうえで、失われる歯をどのように補うか、ブリッジや入れ歯を含めた選択肢をご説明し、最終的にインプラントをご選択いただきました。

通常のインプラント治療では、抜歯後に骨と歯茎が治るのを数ヶ月待ってから埋入するため、その間は歯のない状態で過ごしていただくことになります。今回はCT撮影で骨の幅と高さ、骨の質、周囲の神経や血管の走行を確認し、抜歯と同時に埋入できる条件が整っていると判断しました。

さらに当日の仮歯で咬み合わせまで機能させる方法(即時荷重)を選択したため、抜歯した当日から、その部分で食事をしていただける状態になりました。

ただし、この方法はどなたにでも行えるものではありません。感染の程度が大きい場合、骨が足りない場合、手術時に十分な初期固定が得られない場合には適応外となり、治癒を待ってから埋入する方法に切り替える必要があります。その可能性も含めて事前にご説明し、同意をいただいたうえで治療を開始しました。

実際に行った治療

治療の流れ

  1. 精密検査・説明レントゲン検査、CT撮影、口腔内写真による精密検査を行い、診断結果と治療計画、費用、リスクをご説明しました。
  2. 抜歯・感染源の除去右下5番を、周囲の骨をできるだけ傷めないよう配慮して抜歯し、根の先の病巣と抜歯窩に残る感染性の組織を徹底的に除去・洗浄しました。感染源を完全に取り除けることが、抜歯と同時にインプラントを埋入する際の前提条件になります。
  3. インプラント埋入続けてインプラント体を埋入し、十分な初期固定が得られていることを確認しました。本症例では骨造成(GBR)や骨補填材の追加は行わず、埋入のみで対応しています。
  4. 仮歯装着(即時荷重)同日中に仮歯を装着し、咬み合わせを調整したうえで機能させました。結合が完了するまでは過度な力を避ける必要があるため、硬いものを強く咬まないなどの注意点をお伝えしています。
  5. 最終補綴・メンテナンス治癒期間を経て骨との結合を確認したのち、型取りを行い、最終的な上部構造としてジルコニアクラウンを装着しました。装着後は、インプラントを長く使っていただくための定期メンテナンスへ移行しています。

治療の経過

術前
術前(歯茎に瘻孔が見える状態)
抜歯直後
抜歯直後の抜歯窩
仮歯
当日に装着した仮歯
最終補綴
最終的に装着したジルコニアクラウン

術前(歯茎に瘻孔が見えます)、抜歯直後の抜歯窩、当日に装着した仮歯、そして最終的に装着したジルコニアクラウンです。抜歯から仮歯の装着までを同じ日に行っています。

治療後の状態

治療前に見られた瘻孔と排膿は消失し、歯茎も落ち着いた状態になりました。隣の歯を削ることなく単独で歯を回復でき、日常の食事にも支障なくお使いいただけています。

治療の概要

主訴右下の奥歯の歯茎が膿んでいるので治療したい
治療期間4ヶ月
治療費550,000円(税込) インプラント(奥歯)1本分
55,000円(税込) 抜歯即時埋入加算
リスク術後の口腔管理が不適切な場合、埋入したインプラント周囲に感染・炎症を起こし、脱落する可能性があります。

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